ミス・サンシャイン
2021
KADOKAWA
KADOKAWA
僕が恋したのは、美しい80代の女性でした…。大学院生の岡田一心は、伝説の映画女優「和楽京子」こと、鈴さんの家に通って、荷物整理のアルバイトをするようになった。鈴さんは一心と同じ長崎出身で、かつてはハリウッドでも活躍していた銀幕のスターだった。せつない恋に溺れていた一心は、いまは静かに暮らしている鈴さんとの交流によって、大切なものに触れる。まったく新しい優しさの物語。
およそ十数年、担当から離れました。その間に「悪人」や「怒り」のような大作も出ていますが、吉田さんの空気感は変わりません。どこから見ても普通なのに、どこか神秘的なものを感じます。個人全集のあと、「ミス・サンシャイン」をつくりました。ふるさと長崎の原爆のことを、吉田さんは初めて書きました。切ない恋に苦しんでいた大学院生の岡田一心くんは、美しい80代の映画女優と出会って、本当の優しさに触れます。ふたりの間には一瞬、純度の高い感情が流れました。装丁には、杉本博司さんの作品。推薦の文章は、女優の吉永小百合さんが書いてくれました。
(文藝春秋 Y)