逃亡小説集
2019
KADOKAWA
KADOKAWA
「もう、いいよ……。もう、逮捕でもなんでもしてくれんね」
高校卒業後、地元の北九州を出て職を転々とし、夜逃げした先輩の借金を返すも、年老いた母親を抱えて途方に暮れていた秀明は、その母親を乗せた車で一方通行違反で捕まった時、自分の中でついに何かがあふれてしまった。そのまま警察を振り切り、逃走を始めた秀明に、去来するものとは…(「逃げろ九州男児」)
一世を風靡しながら、転落した元アイドル。道ならぬ恋に落ちた、教師と元教え子。そして、極北の地で突如消息を絶った郵便配達員。 彼らが逃げた先に、安住の地はあるのか。人生の断面を切り取る4つの物語。
著者ライフワークの傑作小説集第2弾!
高校卒業後、地元の北九州を出て職を転々とし、夜逃げした先輩の借金を返すも、年老いた母親を抱えて途方に暮れていた秀明は、その母親を乗せた車で一方通行違反で捕まった時、自分の中でついに何かがあふれてしまった。そのまま警察を振り切り、逃走を始めた秀明に、去来するものとは…(「逃げろ九州男児」)
一世を風靡しながら、転落した元アイドル。道ならぬ恋に落ちた、教師と元教え子。そして、極北の地で突如消息を絶った郵便配達員。 彼らが逃げた先に、安住の地はあるのか。人生の断面を切り取る4つの物語。
著者ライフワークの傑作小説集第2弾!
「小説集を作りたいんです。できれば三部作で」シリーズ前作『犯罪小説集』の執筆前、吉田さんがこう言ったことから、この企画は出発しました。日本全国で起きたさまざまな出来事をモザイクのように描くことによって、現代の日本が炙り出されてくるのではないか、という思いもあったようです。第二作のテーマに選ばれたのは「逃亡」。「犯罪」の次のテーマとしては意外な気がしましたが、思えば、『悪人』『元職員』など、吉田作品に主人公が逃げる作品が多いことは、テーマを決めてから気付きました。ほかの担当者も書かれている通り、執筆にあたり北海道の網走・知床に取材旅行に行きました。「逃亡」といえば極北、ということと、行ったことがない場所というのが理由でしたが、寒いのが苦手という吉田さんは、当初行くのを本当に渋っていました。ところが、その年は例年よりも暖かかったようで、想像していたほどの寒さでもなく、流氷の幻想的な風景や、冬の味覚(特にカニ!)も気に入られたようで、帰るころには「また来たい」というほどだったようです。(取材がどう生かされたかは、本作収録の「逃げろミスター・ポストマン」をぜひご一読ください!)『犯罪小説集』は瀬々敬久監督によって『楽園』という映画となり(今秋公開予定)、幸福なシリーズとなりました。吉田さんのライフワークである三部作の小説集にぜひご注目ください。
(KADOKAWA Y)