続 横道世之介
2019
中央公論新社
中央公論新社
バブルの売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。横道世之介、24歳。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。
前作『横道世之介』と今作『続 横道世之介』を読んで、「これは自分の話だ!」と共感する方は多いのではないかと思います。かくいう私も、大学時代は友人宅に入り浸り、なぜか子どもによく懐かれ、さらには「高良健吾くんに似てるねー」と言われたことがあるので、世之介という人物が自分の分身だとしか思えませんでした。(注:「高良さんに似てる」と言われたのは、ガールズバーの女性からお世辞としてです。実際は三谷幸喜さんに似ております)
担当編集引き継ぎのご挨拶をした翌日、吉田さんから「なぜか初対面とは思えぬ親近感でした」という嬉しいメールをいただきました。これはまさに世之介の特徴!「ついに作者からもお墨付きをもらってしまったか。これは本格的に世之介に似てきたな」と誇らしい気持ちになった直後、「いやいや、続篇の世之介はちょっとダメなやつだぞ。もっとちゃんとしなければまずいのでは?」と思い直し、若干青ざめたことを今も思い出します。
(中央公論新社 K)