TALK&INTERVIEW Vol.1
華やかに見え、実は地味。それが作家の日常である。スケジュールを埋めるは執筆の日々ばかり。来る日も来る日も面と向かうは原稿なんである。ご多分に漏れず、吉田修一の日常も然り。でもふと生まれた“書かなくてもいい夜”には、誰かを誘ってグラスを傾けることもある。それが気の合う友人とならば、おいしい酒もなおさらおいしく感じられるのはいわずもがな、である。
作家・吉田修一が繰り広げる交友の夜、語られることとは? 今回お誘いしたのは、映画『悪人』でタッグを組んだ李相日監督。待つは東京某所のバー。テーブルには二人とも親しいオーナーとyoshidashuichi.comの編集人・Tも参加。賑やかな夜になりそうで…。
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李相日(リ・サンイル)
1974年生まれ。新潟県出身。『青〜chong〜』でぴあフィルムフェスティバルのグランプリを受賞。『フラガール』で日本アカデミー賞作品賞、キネマ旬報ベストテン邦画部門で一位を獲得。今最も注目を集める若手映画監督のひとりである。最新作は9月11日公開の『悪人』。
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吉田修一(以下Y)どうもどうも。さすがに今、忙しいでしょ?
Y いや実はまだあんまり決まってないんです。今日もゆる〜い感じで。
サイト編集人T(以下T) さっきまで電子機器の話をしていたんですよ。監督は機械系強いですか?
L 家庭用ビデオカメラってあるじゃないですか? あれのハードに記録した映像をどうやってディスクに落とし込めばいいのかが分からない。
L この間子供の運動会があるんで、ビデオカメラのハードに記録している映像をディスクに移して欲しいっていわれたんですよ。もうハードがいっぱいだったんで。でも、男だからってそう言うことが出来ると思ったら大間違いなんです!
Y とっておきって…。20代半ばだからパソコンが普及し始めの頃だと思うんですけど、ある会社で上司と電話でやりとりしていた時「吉田くんのパソコンと情報を共有したいから、こっちに入ってきてよ」っていわれたんですね。それで「はい!」ってすぐに電話を切って、のこのことその人の部屋まで行って後ろに立ってたことがあって。
Y それが覚えていないんですよ。多分印刷関係の仕事をしていたと思うんですけど。
Y 頭脳系ってわけでもないですけど、デスクワークですよね。でも気がつくと工場の方に異動していましたけど。
L でもやっぱり何か紙媒体と関係のあることをしていたんですね。