キャンセルされた街の案内

2009
新潮社
働きながら小説を書いている男の元に、無職の兄が転がり込んでくる。兄とのふとした会話から、男の脳裏に故郷長崎にある廃墟の島・軍艦島で案内をしていた幼き日の思い出が浮かぶ表題作。絶対にいやな思いをしない場所、といって連れていかれたパークハイアット東京での完璧な時間(『台風一過』)。極寒のソウル、お粥屋ですれ違う日本人の女と韓国人の男(『零下五度』)。「短編小説は交差点のようなもの、ここでの出会い頭のようなものを小説にしていく」と著者自ら語るように、ひとつの場所での景色から始まる物語たちで構成。吉田修一初めての短編集。
吉田さんが描く「街」が大好きです。どこにでもありそうな景色の中に、いつも「何か」が隠されています。ランチタイムのお台場にも、ソウルの屋台にも、大阪のお好み焼屋にも。「何か」は必ずしも楽しいことばかりではありませんが、それでも目をそらすことができない…そんな魅力的な「街」が主人公ともいえる短編集です。吉田さん初の「純然たる短編集」という光栄なお仕事でしたが、唯一の苦労といえば、それは穴でした! その穴とは…。(以下省略)

(新潮社 F)

『キャンセルされた街の案内』

吉田 修一  
定価:483円(税込)
新潮文庫

『キャンセルされた街の案内』
[単行本]

吉田 修一  
定価:1,365円(税込)
新潮社
TW

『被取消的城市導覽』

吉田 修一
時報出版
books.com.tw
KR

『도시여행자』

요시다 슈이치
노블마인
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