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TALK&INTERVIEW Vol.1

華やかに見えて実は地味。それが作家の日常である。スケジュールを埋めるは執筆の日々ばかり。来る日も来る日も面と向かうは原稿なんである。ご多分に漏れず、吉田修一の日常も然り。でもふと生まれた“書かなくてもいい夜”には、誰かを誘ってグラスを傾けることもある。それが気の合う友人とならば、おいしい酒もなおさらおいしく感じられるのはいわずもがなで…。
作家・吉田修一が繰り広げる交友の夜、お相手は前回に続き映画『悪人』でタッグを組んだ李相日監督。場所は吉田行きつけの都内某所のバー。二人とも親しいオーナーや、サイト編集人Tも交えた語らいは、夜が深まるほどに盛り上がりをみせていくのだった。
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 李相日(リ・サンイル)
1974年生まれ。新潟県出身。『青〜chong〜』でぴあフィルムフェスティバルのグランプリを受賞。『フラガール』で日本アカデミー賞作品賞、キネマ旬報ベストテン邦画部門で一位を獲得。今最も注目を集める若手映画監督のひとりである。最新作は現在公開中の『悪人』。
サイト編集人T(以下T) 監督は脚本を手がける前に原作を何回読んだんですか?
李相日監督(以下L) いや、回数はあんまり読んでいませんよ。2〜3回ぐらいですね。でもあんなに集中して本を読んだことはないかも知れません。読み終わった後、どっと疲れました(笑)。
吉田修一(以下Y) これインタビューの時もいったんですが、脚本を書いている時に監督も僕も一度も本を開かなかったんです。プロデューサーはいつも原作を持っていたんですが、結局一度も。
L そうなんです。(脚本が)原作に引っ張られなかった。それが結果的に良かったんでしょうね。
T 監督は『悪人』を映画にすることを想定しながら読んだって、前にどこかのインタビューでいっていましたよね。
L はい。
T 映画にしたくなる作品と、そうでない作品の違いってどこにあるんですか?
L そうですね…。頭で楽しむのと心が感じる作品の違いですかね。(胸をたたきながら)ここが動く物語を、映画にしてみたいって思います。
オーナー(以下O) それが『悪人』だったのね。
L そうですね。
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